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矯正診療について

成長期の矯正治療



「矯正治療ではどのような症例が難しいのですか?」と尋ねられた時はいつも、「それはアゴの形や大きさの問題が不正咬合の原因となっている症例です」と答えております。矯正歯科医はアゴの骨の骨格的な問題と歯並びの関係をよく理解し、治療に当たることが求められます。

成長期の矯正治療においては、まず不正咬合の背景に骨格的な問題が無いかどうかを第一に考える必要があります。アゴの成長のコントロールへ
アゴの成長のコントロールへ

次に考えるべきことは、“ディスクレパンシー”と呼ばれる問題で、アゴと歯の大きさの不調和を意味します。矯正治療に来る患者さんの中には、歯が大きい人が非常に多く、いっぽうアゴの発育が不足している方も多く見受けられます。ディスクレパンシーが強いと、歯がアゴの中に納まらず、結果として八重歯などのデコボコの強い乱杭歯になったり、前歯が飛び出し出っ歯になったりします。
歯の生え代わりの誘導へ

そして両者の問題にお口の機能が関わっている場合は、その改善に努めます。歯並びが悪いことで、ものがうまく噛めない、発音がうまくできない、など機能障害を訴えることがあります。反対に、元々ものを咬み砕く咀嚼機能や飲み込む嚥下の動作に問題があり、そのことが原因でアゴの発育を妨げたり、歯列の形態を歪めたりしている場合があります。
お口の機能の改善・再学習へ


成長期の矯正治療の目的
  • アゴの成長のコントロール 詳細へ
  • 歯の生え代わりの誘導 詳細へ
  • お口の機能の改善・再学習 詳細へ

アゴの成長のコントロール

歯並びが悪いのはアゴの大きさが原因?

“出っ歯”(上顎前突)や“受け口”(反対咬合)といった前歯のかみ合わせが悪いお子さんでは、下のアゴが小さい大きいといったアゴの発育に問題があることが少なくありません。
思春期に体の成長が加速される時期まで(小学生以下)は、矯正装置によりアゴの成長をある程度コントロールすることができます。
上アゴの成長不足により反対咬合になっている症例では、上顎前方牽引装置により上アゴの成長を促進することで前歯の咬み合わせを治します。

上顎前方牽引装置

治療例

上顎前突(出っ歯)の患者さんの多くに、下顎の発育不足があることが分かっております。成長期には、下アゴの成長を促進することで上顎前突の改善を行います。

下顎骨の前方誘導による成長の促進

治療例

アゴの形態の改善は小さいお子さんほど可能性が高いことより、歯並びが悪くアゴの発育に問題が疑われる場合は、お早めにご相談ください。

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歯の生え代わりの誘導

歯の生え変わりにご注意を!

矯正治療の目標は、永久歯の正しいかみ合わせを作ることです。では乳歯はどうでも良いかというとそうではありません。 乳歯が適切な時期に抜け落ちることで、永久歯が生えるのを正しく誘導します。乳歯が虫歯などで早く抜けてしまうと、 その場所に隣の歯が寄ってきたりして、将来の永久歯の歯並びに大きく影響します。
下図のように、乳歯の奥歯が虫歯にかかり本来よりも早く喪失すると、6歳臼歯が前方へと移動します。このことにより、噛み合わせが大きく乱れるとともに、6歳臼歯より前方の永久歯(正常では10〜11歳で萌出)の萌出する隙間が減少し、萌出障害や歯並びの乱れが起こります。

写真は、左上の乳歯の奥歯が虫歯で早く抜け第一大臼歯が前方へ移動してしまった例です。
矯正装置(Lingual Arch)により、前方に傾斜した第一大臼歯を元の位置に戻すことで、正常な永久歯の萌出を誘導します。

写真は、左上の乳歯の奥歯が虫歯で早く抜け第一大臼歯が前方へ移動してしまった例です。
矯正装置(Lingual Arch)により、前方に傾斜した第一大臼歯を元の位置に戻すことで、正常な永久歯の萌出を誘導します。

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口腔機能の改善・再学習

近年、歯並びの悪いお子さんが増加しておりますが、アゴの骨の発育に問題がある場合が少なくありません。
アゴの骨の発育異常の一因として、現代における急激な食性の変化に伴うお口の機能の問題が考えられます。
お口の機能の問題とは、単に硬い食品を嗜好せず噛む力が弱いといったことだけではなく、咀嚼や嚥下(食物を飲み込む)などのお口の正しい機能を習得していないことを意味しています。
お口の機能の基本事項の大半は、乳歯列が完成した時点(2歳半ごろ)で既に獲得しています。出生後、乳歯が少しずつ生えてくると共に離乳が始まります。前歯から奥歯へと歯が生えそろうのに伴い、離乳食も次第に大人の食べ物に近づいていきます。まさにこの離乳期が、お口の機能を学習する大切な時期なのです。そして、離乳期にお口の機能を正しく学習できていない場合、結果としてアゴの骨の形や歯並びに影響することが心配されます。
お口の機能の発育へ

お口の機能に問題がある患者さんの写真です。上の唇は閉じる力が弱く、その形は赤ちゃんの唇と似ております。側面からは、うまく閉じることができないため、オトガイ部の筋肉が強く緊張していることが伺われます。離乳期に唇の使い方をうまく学べなかったに違いありません。
上の歯列は非常に狭く、V字型の形態をしております。正しい嚥下では舌が上あごに押しつけられ、このことが上アゴの幅径の正常な発育を促しています。正常な嚥下を行っていないことが、このような歯列不正を招いたと推察されます。
このような患者さんには、矯正治療により狭い上アゴを拡大(上顎骨の拡大装置)したうえで、お口の機能の再学習(口腔筋機能療法)を行います。


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